自己破産前後の遺産相続に要注意

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自己破産を検討する際、裁判所への申立の前後に遺産相続がありそうな場合は、申立てのタイミングについては慎重にならなければなりません。
下手をすれば、相続した財産はすべて債権者への配当に回されてしまい、自身の手元には1円も残らない・・・なんてことになりかねないのです。
では、自己破産前後に遺産相続がありそうな場合、どのようなことに注意すべきなのでしょうか?
今回は、自己破産申立と遺産相続のタイミングごとにそれぞれ詳しく見ていきましょう。

そもそも遺産相続とは?

自己破産申立と遺産相続のタイミングについて説明する前に、前提として遺産相続についても知っておきましょう。

そもそも遺産相続とは、好きなときに出来るものではありません。
よく、遺産を実際に受け取った瞬間に相続したと勘違いしている方がいますが、法的には被相続人(相続される側の人)が死亡した瞬間に相続が発生します。
つまり、意図して遺産相続のタイミングを操作するのは困難と言わざるを得ません。人の死は決して操れるものではないのです。
もしも、いつ亡くなってしまうかわからないご両親がご兄弟(相続関係によっては兄弟も相続人になるため)がいる方は、特に注意して以下の説明を読んでいただけたらと存じます。
正しい知識を身につけ、必要のない損益を被ることがないように手続きを進めましょう。

自己破産申立の前に遺産相続があった

自己破産申立の前に遺産相続があった場合、自己破産をせずに済む可能性が出てきます。
どの程度の財産を相続できるかにもよりますが、借金を全額返せるほどの金額であれば自己破産をする必要は当然なくなります。
また、一部借金を清算できる程度であれば、自己破産をせずとも他の債務整理手続きである個人再生や任意整理によって解決できる可能性が出てきます。

なお、個人再生はいまある借金を裁判所経由で5分の1程度に圧縮(最低返済は100万円)し、返済を継続する手続きです。
任意整理は、将来的な利息や遅延損害金などをカットし、1ヶ月の収支を基準に無理のない返済を実現する手続きになります。

このいずれかの手続きで解決できるのであれば、自己破産をせずに済むというわけです。
自己破産は他の債務整理手続きと比べるとデメリットが多い手続きとなっていますので、遺産相続がきっかけで避けられるのであれば、避けたほうが良い場合も多いです。

自己破産はあくまでも債務整理手続きの最終手段だと認識しておきましょう。

破産開始決定前の前に遺産相続があった

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自己破産の申立をし、破産手続開始決定(破産手続きに入ることを裁判所が決定したということ)の前に遺産相続があった場合、そのままだと相続した財産は債権者に配当されてしまいます。
自己破産の申立から破産手続開始決定が出るまでの期間は1ヶ月もかからないことがほとんどですが、このわずかな期間に遺産相続が発生するのだけは避けるのが無難です。

しかし、現実に遺産相続のタイミングを意図的に図ることなどできないため、この場合は自己破産の申立自体を取り下げるという方法で解決可能です。
何も相続した遺産を債権者に配当することはありません。というのも、自己破産という手続きは、裁判所が出す破産手続始決定前であればいつでも自由に取り下げが可能となっています。

しかし、いったん開始決定が出てしまうと、取り下げができなくなってしまい、せっかくの財産が手元に残らなくなってしまう危険があるので要注意です。
いずれにせよ、こういった状況に巻き込まれてしまった場合は、裁判所からの指示に身を任せるのではなく、専門家に相談しながら適正な処理をしてもらうのが良いでしょう。
専門家は依頼者が不利になるようなことを勧めることはありません。安心して相談してください。

破産開始決定の後に遺産相続があった

次に、自己破産の申立をし、破産手続開始決定が出た後、遺産相続があった場合、原則としてその財産はすべて手元に残すことができます。
実は、破産開始決定が出た後に得た財産は「新得財産」といって、破産手続きの中で手をつけられることはなく、自身の自由に処分できるのです。
そもそも自己破産という手続きの目的は、多重債務者の救済にあります。なにも、債務者が持っている財産を根こそぎ回収してしまう手続きではありません。自己破産後もまともな生活が送っていけるように、債務者が新たに得た財産にまで手がつけられることはないのです。
これはたとえ遺産相続であっても例外ではないため、自己破産により債務はなくなり、財産はすべて手元に残すことができるという最良の結果となります。

自己破産は早ければ早いほど良い

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上記を簡単にまとめると、自己破産という手続きは早ければ早いほど良いということ。
特に、自己破産の申立前後に遺産相続を控えているという方は、先に自己破産の手続きを済ませてしまうことをおすすめいたします。

また、遺産相続だけでなく、将来設計を検討する上でも自己破産は早ければ早いほど良いです。
というのも、自己破産をしたことによって生じるデメリットである、個人信用情報機関に事故情報が登録されてしまう点についてですが、こちらはいつまでも登録されているわけではありません。期間経過(一般的には5~7年程度)によって、事故情報は末梢されることになっているため、新たな借入が困難な期間は限られています。

自己破産を早く済ませることができるということは、それだけ再度の借入が出来る年齢が若くなるということ。いまでこそすぐに住宅ローンを組んだり、オートローンを組んだりということはなくても、結婚して家族ができれば必要になってくることも当然ながらあります。

しかし、自己破産をせずにいつまでも無理な返済を繰り返していれば、借金はなくならないままで高価な買い物などできるはずがありません。それに比べ、若いうちに自己破産をしていれば、返済苦は早々に解消されますし、本来であれば返済に充てられていたお金を貯金に回すことだって可能となります。
自己破産は遺産相続が絡む場合以外であっても、早ければ早いほど良い手続きなのです。

自己破産への第一歩は専門家への相談

しかしながら、自己破産することへの抵抗は誰にだってあります。遺産相続を控えているのであれば、そのまま遺産を相続し、借金返済に充てようと考えるのはおかしなことではありません。
これが間違った考え方と言い切るわけではありませんが、現状で支払い不能状態であれば自己破産はすべきです。
なにもせっかく相続した遺産に手をつけてまで借金返済せずとも良いのです。

自己破産にマイナスイメージは付き物ですが、法の抜け穴を通り抜けるようなグレーな手続きでは決してありません。
無理に支払い不能状態を維持しようとするのではなく、返済できないのであれば自己破産という選択肢を視野に入れるのも良い判断と言えるでしょう。
とはいえ、自己破産は裁判所での手続きになるため何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。そういった方は、必ず専門家に自己破産の相談をしましょう。

自己破産への第一歩は専門家への相談なのだとしっかり覚えておいてください。そして、上記でも触れたように自己破産は早ければ早いほど良い手続きです。専門家に相談しながら、迅速な申立てを心がけていれば、さまざまな問題があったとしても、おのずと良い方向に進んでいくことになります。

 

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