弁護士が受任通知を貸金業者に送付すると?

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自己破産だけでなく、個人再生や任意整理といった他の債務整理手続きにも共通して言えることですが、弁護士が手続きに介入すると、専門家は貸金業者に対して「受任通知」と呼ばれる書面を送付します。

そしてこの受任通知が送付されると、貸金業としての登録をしている貸金業者は、債務者に対して支払い請求などといった直接の連絡を取ることができなくなります。
つまり、貸金業者側は債務者の代理人である専門家を介することでしか請求ができなくなるため、受任通知が貸金業者に送付されただけで借金の請求が止む仕組みになっています。
これは専門家に債務整理を依頼する上での、メリットの1つと言えるでしょう。

受任通知がきっかけで督促から解放

受任通知を送付された貸金業者は、まず債務者との取引履歴を開示しなければなりません。
開示までの期間は貸金業者によってまちまちとなっているため、正確にどの程度か断言はできませんが、早い貸金業者で2週間前後、遅い貸金業者で2ヶ月程度となっています。

もちろんこれ以上かかる貸金業者もいますが、いずれにしても取引履歴が開示されないことには、正確な借金総額が判明しないため手続きを進めていくことができません。
相談時に決めた債務整理方針というのは、借金総額が判明した後、改めて確定されることになっています。

受任通知送付後は返済がストップ

受任通知が送付されると貸金業者からの請求が止むだけではありません。
受任通知送付の対象とした貸金業者への返済はすべてストップするというメリットもあります。

どういったことかというと、債務整理方針が確定し、実際に手続きが進んでいくまでの間、貸金業者に対して一切の返済はストップするのです。手続きが任意整理で確定したのであれば、貸金業者との和解後、個人再生であれば裁判所での手続き後まで支払いをする必要はありません。

そして、自己破産であれば、受任通知送付の瞬間から借金の返済は行わなくても良くなるのです。
借金総額の判明後、方針が変更されることはありますが、ほぼほぼ自己破産で確定といった場合は、受任通知送付の瞬間から借金返済に追われる日々から解放されるというわけです。

専門家が取引履歴を引き直し計算する

なお、貸金業者から取引履歴が送付されると、専門家は引き直しという計算を行います。

これは、正確な過払い金額を計算する際に行われるのですが、すべての債務整理手続きに共通して行われることになっています。
中には、過払いにまではなっていなくても、大幅に借金額が減るケースも存在しているのです。
そして、ここで、もし借金の大幅減額や過払い金が発生していれば方針の変更(自己破産から個人再生に変更など)が検討されることになります。

つまり、すべての貸金業者との引き直し計算が終わらない限り、債務整理方針が確定されることはないということです。
自身が把握している借金総額というのは、偽りの数字である可能性が十分にあるのです。

よって、相談時に決められた方針というのは、あくまでも暫定であると覚えておくのが良いでしょう。
手続きが本格的に進んでいくのは、すべての貸金業者から取り寄せた取引履歴の引き直し計算が終わってからというわけです。

貸金業者の裁判手続きを止めることはできない

冒頭にて、貸金業者は債務者に対して直接の連絡をすることができなくなると説明しましたが、貸金業者の起こす裁判手続きを止めることまではできない点に注意です。
というのも、裁判手続きというのは、債務者に直接の連絡を取る行為ではありません。

あくまでも裁判所を介して行われるため、貸金業者が「支払い督促」といった手続きを提起するのは自由とされています。
専門家が介入することによって、貸金業者の裁判手続きをある程度は抑制できるとはいえ、時効が近くなったり、手続きが遅かったりすれば、我慢できなくなった貸金業者が裁判手続きを利用してくることがあります。

専門家が介入しているのに裁判所から通知がくるのはおかしいと感じる方も多いかもしれませんが、自己破産といった裁判所での手続きを利用できる権利が債務者側にあるのと同様、裁判提起する権利は貸金業者に対してもある以上、専門家でもどうすることもできません。
しかし、専門家であれば貸金業者側に裁判提起されたとしても、被害を最小限に抑えることが可能です。
もし、こうした状況に巻き込まれてしまった場合は、すぐ専門家に対処してもらいましょう。

放っておくとどうなってしまうのか?

では、貸金業者からの裁判提起を放っておいた場合はどうなってしまうのでしょうか?
この場合、貸金業者は最終的に債務名義を手にすることになります。
債務名義とは、いわゆる判決などのことを指し、わかりやすく言えば、債務者に対していつでも強制執行手続きをしても良いと裁判所が認める書面のことです。
強制執行とは、債務者の預金残高や給与を差し押さえる手続きをさし、貸金業者側は専門家が間に介入していたとしても、躊躇なく強制執行をしてきます。

これをされてしまうと、預金残高がいつの間にか0円になっていたり、勤務先に裁判所からの通知が届き、給与の一部を差し押さえられてしまったりといった事態に発展してしまいます。

となれば、せっかく借金の返済から一時的に解放されていたというのに、日常生活に多大な影響を与えることになりかねません。特に、職場に裁判所からの通知がいってしまえば、その理由を説明しなければなりませんし、肩身が狭い思いをする引き金になる可能性が十分にあるのです。

専門家であれば適正な対処が可能

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上記のように、貸金業者からの裁判所を介した請求は放っておいても良いことなど1つもありません。しかし、専門家であれば、貸金業者からのこうした請求に適正な対処が可能となっています。

たとえば、貸金業者に対して裁判手続きを取下げてもらうよう交渉したり、手続きを早急に進め、差押えを停止させることができるのです。自己破産の場合、裁判所に申立をし、破産手続開始決定が出た瞬間から、すべての強制執行は停止されることになっています。
ただし、専門家に相談しないまま債務名義を取得されてしまうと、いつ強制執行をされてもおかしくなくなるため、専門家への相談は債務名義を取得される前に必ず行ってください。

専門家とは綿密に連絡を取り合うように

なお、すでに専門家が介入していたとしても、実は貸金業者が起こした裁判の通知というのは専門家のもとに直接送られてくるわけではなく、自身のもとに送られてきます。
つまり、どうせ専門家のもとにも届いているだろうと勘繰り、連絡を怠っていると専門家の知らないうちに裁判が進んでしまうなんてことになります。となれば、専門家の知らないところで貸金業者が債務名義を取得し、いつの間にか強制執行までされていたなんてことにもなりかねません。

いくら自己破産を依頼したからといっても、専門家とは綿密に連絡を取り合うようにし、また、自身のもとに届く郵便物にもしっかり目を通し、裁判所からの通知が届いていないかどうか日頃から気を配るようにしましょう。
債務整理手続きというのは、専門家に依頼した時点で貸金業者からの請求や支払いがストップするため、もう終わったと勘違いしがちなのですが、この段階では一時的にストップしているにすぎません。自身の手続きだと自覚し、専門家に任せきりになることがないよう手続きを進めていかなければならないのです。

 

ys

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