一度も返済していない債権者がいる場合

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一度も返済していない債権者がいた場合、自己破産はできるものなのでしょうか?
結論から言えば、自己破産は可能です。

しかし、一度も返済していないということは、実際にはそうでなかったとしても、債権者の立場からすれば返済できないことがわかっていて借入をしたと考えられてしまっても文句は言えません。

また、返済する気もないのに借入をする行為は免責不許可事由に該当する行為です。
免責不許可事由とは、免責が許可されない事由のことで、免責不許可になる可能性があります。
とはいえ、絶対に免責が出ないわけではないのでご安心ください。

免責決定は裁判官次第になる

自己破産の手続きでは、たとえ免責不許可事由に該当する行為があったとしても、裁判官の判断で免責が出ることになっています。これを裁量免責と言います。

よって、裁判所との関係では自己破産の手続きに継続できないほどの問題が生じることはありません。
しかし、債権者から免責に異議申立される可能性がある点には注意しなければなりません。
債権者の権利として、異議申立するタイミングが自己破産には設けられているのです。

自己破産は、一方的に申立人有利に進められる手続きではなく、原則は債権者に対しても平等に異議を与える機会が与えられているのです。
一方的に自己破産を認めるのではなく、債権者から自己破産に対して同意ないまでも、反対もしないという体裁で成り立っています。
そのうえで、裁判官が最終的に免責決定を出すかどうかの判断をしているというわけです。

異議が出されてしまったら?

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もし、債権者から異議申し立てがされた場合、裁判所は破産者と債権者の双方から事情を聴くことになります。

原則としては、破産者と債権者が裁判所まで足を運び聴取をするのですが、現在は簡略化する裁判所が増え、書面による事情聴取が一般的となっています。

その後、裁判官が双方の事情を踏まえた上で最終的な判断を下すのですが、異議申し立てが認められることはほとんどありません。
免責に相当する事情がある以上、一部でも債務を残してしまえば、破産者のその後の生活に多大な影響を及ぼすため、まず認められないといえます。

もし、異議が認められてしまった場合は、その債権は自己破産の手続きから除外され、債務が残ってしまうことになっていますが、よほど悪質でない限り、異議は却下されることになっていますので、それほど心配しなくても大丈夫です。

稀に、個人的な借り入れのある債権者から、自己破産は絶対認めないなどと異議申し立てされることはありますが、まず通らない上に、一般的な貸金業者はそれをわかっているため、わざわざ異議申し立てしてくることもありません。

悪質すぎる場合は刑事告訴の危険もある

こちらもほとんどないとは言えますが、破産者の行為が悪質すぎる場合は異議申し立てが認められるばかりか、債権者から刑事告訴される危険もあります。
刑事告訴とは、警察に犯罪行為を訴えることです。

刑事告訴に関しても、一般的な貸金業者がしてくることはまずありませんが、個人の債権者の場合、私怨からここまでしてくる可能性は十分に考えられます。
個人的な借入のある相手に一度も返済しないとなると、その恨みも深いものです。

よって、債権者に個人的な関係の方がいる場合、あまり関係性を悪化させないように気を配りながら手続きを進めていかなければなりません。

弁護士

個人債権者との話し合いはなるべく避ける

では、個人債権者との関係を悪化させないためには、どのような点に気を付けるべきでしょうか。
ここでもっとも重要なのは、個人債権者との話し合いはなるべく避けるということです。

相手によっては話し合いを避けることで、より関係が悪化することもあるかもしれませんが、自己破産する以上、いくら話し合いをしたところで1円たりとも返済などはできません。
自己破産の手続きでは、特定の債権者にのみ返済する行為を「偏波弁済(へんぱべんさい)」として禁止しています。
すべての債権者は平等に取り扱わなければならないのです。

また、個人債権者と話し合いをしたとしても、感情的になってしまうことがほとんどで、まともな話し合いは期待されないため、可能な限り避けたほうが無難と言えます。

個人債権者への対応は弁護士に任せる

とはいえ、返済してもらえないとわかり熱くなった個人債権者が話し合いを避けることで引き下がるとは限りません。
そういった場合は、自身で対応するのではなく弁護士に任せましょう。

弁護士は、自己破産の手続きを受任した瞬間から、すべての債権者との窓口になるという役目があります。
一般的な貸金業者は、金融庁から出されたガイドラインに従って、弁護士が受任した後は債務者に対して直接連絡ができなくなります。

しかし、個人債権者にはこういったルールは存在しません。
よって、最初は強く話し合いを求められる可能性は十分にありますが、それでも弁護士を通して話をしてほしいと対応しましょう。
そして、弁護士からは個人債権者に直接連絡を取ってもらうようにしてもらい、なるべく自身との関わりを持たないようにするのが大切です。

特に一度も返済していない個人債権者がいるとなると、むこうも簡単には引き下がりませんので、トラブルへと発展することは多々あります。
しかし、弁護士が自己破産手続きを受任している以上、すべてのトラブルに対応してもらうことができるので、弁護士に任せてしまうのが無難です。

弁護士のいないところで話を進めない

上記のように、個人債権者への対応は弁護士に任せるのがもっともよいです。

さらに言えば、弁護士のいないところで話を進めることがあってはなりません。

弁護士が把握できていない事情があると、自己破産手続きに矛盾が生じ、裁判所に与える心証が悪くなってしまう危険があるのです。
また、弁護士との信頼関係に亀裂が生じてしまう可能性も十分にあるため、自己破産手続きを依頼した以上は、相手が個人債権者とはいえ勝手に話を進めることがないようにしてください。
あまり勝手に話を進めるようなことがあると、弁護士から手続きを辞退されてしまうこともあるため、自己破産を依頼した以上、弁護士の指示に従うよう心がけましょう。

なお、稀に弁護士が個人債権者を落ち着かせる意味で、免責決定後であれば任意の支払いはできるといった交渉を持ちかけることはありますが、「自己破産後に返済はするから」、「ばれないように返済するから」といった約束を勝手にしてはなりません。

免責決定後に任意の支払いは可能

すでに上記で触れていますが、確かに免責決定後であれば任意の支払いは可能となっています。

免責決定というのは、法的な支払い義務を免除する効力がありますが、現実に借り入れがある以上、借り入れした事実までがなくなるわけではありません。
よって、免責決定後であれば自らの意志で返済する行為自体が問題視されることはないのです。

ここで免責決定後とされている理由は、上記でも軽く触れていますが、自己破産はすべての債権者は平等に取り扱わなければならないためです。
しかし。手続きさえ終了してしまえば平等に取り扱う必要はありません。個人債権者に任意で返済することも可能となっています。
一度も返済していない個人債権者がいる場合、免責決定後の任意返済によって人間関係を回復していくというのも1つの方法と言えるでしょう。

 

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