自己破産すると慰謝料・養育費はどうなる?

imasia_10872821_S

過去の離婚などが原因で、現在においても慰謝料や養育費の支払い義務があった場合、自己破産をすることによって、支払い義務は免除されることになるのでしょうか?
一見すると、借金がすべて免除になる自己破産であれば、どういった支払いでも免れるように見えます。そのための制度なのでは?といった声も聞こえてきそうです。

しかし、慰謝料や養育費というのは、自己破産における「非免責債権」に該当しているため、免責の対象外とされています。非免責債権とは、そもそも免責にならない支払いのことです。

いくら自己破産でもすべての支払い義務から免れるわけではありません。
そこで今回は、自己破産すると、非免責債権に当たる慰謝料や養育費はどうなるのか?について詳しくご説明します。

慰謝料は非免責債権に該当

慰謝料というのは、一方が配偶者に与えてしまった精神的損害による賠償金です。
自己破産における非免責債権には、本人に非がある場合の支払いは免除にならないという項目があります。

本人の非というのは、具体的には、相手を傷つけると知っていながら(法律では悪意といいます)した不法行為や(法律違反のこと)、本人の重大な過失(勘違い)などといった理由で生じた損害賠償責任は、すべて非免責債権として取り扱われることになっています。

たとえば、婚姻関係がありながら、浮気や不倫をしていたとなれば、当然、相手を傷つけると認識しての行為とみなされますので、こうした理由で請求されている慰謝料は免除になりません。

通常、慰謝料は一括での支払いを求められることが多いのですが、資金不足などによりそれができなかった場合、稀に分割での支払いになっているケースもあります。
しかし、分割支払いになっていたからといって、自己破産で免責になることはないため、自己破産後も支払いを続ける義務があるのだと覚えておきましょう。

養育費も非免責債権に該当

また、養育費についても、自己破産における非免責債権となっています。

そもそも養育費とは、非観護親(離婚後、子どもと一緒に住んでいない親)である以上、必ず支払い義務が発生します。つまり、親子関係によって発生するのが養育費といえるのですが、自己破産で親子関係が終了するわけではないため、当然、支払い義務から免れることはできません。

もちろん、現在における支払いだけでなく、過去の滞納分についても免責になることはありませんし、将来的に発生する支払い義務についても免責になるようなことはありません。

自己破産には、免責不許可事由といって借金を重ねた事情によっては免責を許可しないといった制度があるのですが、免責不許可事由は許可不許可といった次元の話ではなく、そもそも免責の対象になっていないという意味です。どれだけ裁判所に申し入れても、非免責債権が免責されることはありませんので、自己破産後も支払い続けるものだと認識しておいてください。
当然、支払い滞納分も免除になることはないため、いずれ解消していかなければなりません。

非免責債権は優先して支払うように

自己破産で免責にならないということは、免責の対象になっている借金と比べると、非免責債権のほうが支払いの優先度が高いのは言うまでもありません。

言い方は悪いですが、どうせ自己破産で借金の支払い義務がなくなるのであれば、そのほかの支払いを優先していたほうが、自己破産後の生活も自然と安定してきます。よって、自己破産を検討している方は、少しでも借金を減らそうと返済するのではなく、養育費や慰謝料といった支払いを優先させてください。

その他、非免責債権には税金関係の支払い(市県民税や国民健康保険税など)も含まれるため、こちらも優先して支払うべきです。

しかし、貸金業者は返済が少しでも滞れば督促を開始するため、優先して支払ってしまいがちです。
こういった場合は、早々に専門家に自己破産手続きに介入してもらってください。

専門家が介入すると貸金業者は債務者本人に直接連絡することができなくなるのです。また、専門家が受任すれば借金の返済はストップするため、この間に生活状況を安定させ(これが一番大事です)、非免責債権に該当する支払いも少しずつしていきましょう。

専門家に依頼するだけで、これだけのメリットを受けることができるため、借金返済以外の支払いにも悩まされている方は、少しでも早く専門家に介入してもらうことが現状打開のカギです。

実際に支払えるかどうかの問題がある

しかし、いくら支払い義務があるといっても、実際に支払えるかどうかは別問題となります。
特に、自己破産を検討しているとなると、経済的にかなり困窮している状況にあるため、慰謝料・養育費を継続して支払っていけるだけの能力がない可能性が十分にあります。

こういった場合、今後どのようにしていくかについては、支払い側と受け取り側、双方の話し合いによるところ以外に解決策はないと言えます。

受け取る側からしても、いくら強制執行(相手の財産を強制的に差し押さえる手続きのこと)といった法的手続きに着手したとしても、差し押さえるだけの財産のない相手に対しては無駄骨になってしまい、まるで意味がありません。
よって、今後どうしていくか話し合うことは双方にとってメリットがあると言えます。

相手との調整を図るためには

とはいえ、1度離婚をした相手とは、うまく話し合いができないのも無理はありません。どうしても感情が先走ってしまい、冷静な話し合いができない可能性が非常に強いです。

また、離婚でなく交通事故の損害賠償金などであった場合も、被害者と加害者とでは、うまく話し合いができるわけもありません。

このように、慰謝料・養育費の支払いがあるにも関わらず、支払い側が自己破産することになってしまった場合、または、逆の立場である場合は、専門家に介入してもらうのが無難といえます。

専門家であれば、双方の事情に適した解決策をアドバイスすることも可能となっていますし、相手と直接顔を合わせることなく、交渉を進めることも可能ですし、なにより冷静に話し合いを進めることができます。

もともと専門家を通して自己破産していたのであれば、事情をわかってくれている専門家に、そのまま慰謝料・養育費の支払いについても相談すると良いでしょう。

生活保護費を支払いに充てないように

なお、自己破産を検討していて、慰謝料や養育費の支払い能力もないような場合、生活保護を受給したほうが良い場合もあります。生活保護とは、健康で文化的な必要最低限度の生活を送れない方のためにある支援制度で、生活を送っていけるだけの現金が支給されます。

しかし、生活保護費というのは、表面上は本人の収入のような取り扱いがされることもありますが、国から賄われているため、借金の返済は当然のこと、慰謝料や養育費の支払いに充てられるべきお金ではありません。

もし、生活保護費をこうした個人的な事情に使用しているとなると、受給停止だけでなく、遡っての返還請求をされる危険もあるため、絶対にしてはなりません。
よって、生活保護費を受給している方の場合、将来的に社会復帰した後、慰謝料や養育費の支払いを再開することになります。
一度、自身の口座に入金されると、自由に使って良い気がしてしまいますが、あくまで生活を送る目的で支給されているのだと、強く自覚しなければなりません。

 

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ