履歴書に自己破産歴は記載すべきか?

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履歴書を作成していると「賞罰欄」という記載欄があるのを目にします。
この賞罰欄というのは、過去にあった国などから表彰された事実や、刑事事件を犯してしまった場合の懲役や禁固などの刑事罰を記載する欄です。
表彰された事実を隠す方はほとんどいないでしょうが、過去には刑事罰を正直に記載しなかった場合に経歴詐称や私文書偽造といった罪に問われたとった例もあるのです。
では、自己破産の場合はどうなのでしょうか?
履歴書に記載すべきなのでしょうか?

自己破産は犯罪ではありません

すでに冒頭でも触れていますが、賞罰欄には刑事罰を記載しなければなりません。
しかし、自己破産は犯罪ではありませんし、当然ながら刑事罰を受けることもありません。
ということは、たとえ自己破産歴があったとしても、履歴書に記載する必要は一切ないということです。
また、いちいち面接などで自己破産歴を聞いてくることもありませんし、たとえ聞かれたとしても積極的に話すような内容ではありません。
たとえば、自営業を行っていた方で自己破産をした場合、「なぜお仕事はやめられたのですか?」と聞かれることがあっても、「経営に失敗して自己破産をしました」などと答える必要はありません。
「家庭の事情で・・」とでも言っておけば十分です。あまり難しく考えず、就職活動をしましょう。

自己破産が不利に働くことはない

過去に自己破産をしていたり、これから自己破産をしようとしている方は、この事実が次の就職先で不利に働いてしまうのでは?と心配になりがちですが、自己破産が不利に働くことはほとんどありませんのでご安心ください。
たとえ職場に過去の自己破産歴を知られてしまったとしても、それを理由に解雇するなんてことがあれば、これは立派な「不当解雇」に該当する行為です。
不当解雇は取り消しを請求することができるので、専門家に相談をし、取り消しを求めましょう。
とはいえ、現実には不当解雇を争うなんてことがあれば、その職場に居続けるのは精神面からもかなり厳しくなります。
よって、不当解雇の取り消しではなく、職を失ったことにより損害賠償請求や、不当な解雇をされたことにより受けたメンタル面の賠償金として、慰謝料請求するというのも1つの方法です。どういった請求が適正かについては、やはり専門家に相談しながら決めていくのが良いでしょう。
不当な解雇を強いられ、不利益を受け入れる必要などはありません。

不当解雇とは?

不当解雇とは、その言葉のとおり不当な理由で解雇されることを指します。
では、もし就業規則に自己破産したものは退職させるといった規定があったとしたらどうなのでしょうか?
果たして不当な解雇と言えるのでしょうか?

もともと雇用というのは雇用者と従者との契約によって成り立っています。
契約をわかりやすいところで例えると結婚と思っていただいて問題ありません。
婚されている方はすでにご存じかもしれませんが、一度でも結婚すると簡単には離婚はできません。もう一方が離婚したくないといっていれば、協議離婚は成立せず、裁判所を利用して離婚を求める他に方法がありません。
雇用契約も同じようなもので、一度でも雇用関係が発生すれば簡単には解消させることはできません。
これは労働基準法にて定められています。
よって、会社側の一方的な理由で「自己破産したものを退職させる」などという就業規則自体がそもそも成立するわけがないのです。

自己破産で制限される職業に注意

上記のように自己破産したからといって就職に際して不安に感じることはありません。
しかし、自己破産の手続き中に制限される職業には就くことができない点に注意です。
具体的には、以下の職業には就くことができません。

弁護士、司法書士、行政書士、弁理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、税理士、公認会計士、社会保険労務士、測量業者、土地鑑定委員、地質調査業者、下水道処理施設維持管理業者、風俗営業者、特別管理産業廃棄物処理業者、通関業者、鉄道事業者、中小企業診断士、通関士、宅地建物取引主任者、公証人、人事官、国際委員会委員、証券外務員、商品投資販売業、商品投資顧問業、証券金融会社役員、金融商品会員制法人会員、信託会社、著作権等管理事業者役員、地方公営企業等金融機関役員、信用金庫会員・役員、社会保険審査会委員、農水産業協同組合貯金保険機構運営委員会委員・役員、卸売業者、日本中央競馬会経営委員会委員、地方競馬全国協会運営委員会委員、調教師・騎手、国際観光レストラン、貸金業、質屋、割賦購入あっせん業者役員、国家公安委員会委員、都道府県公安委員会委員、教育委員会委員、公正取引委員会委員、商工会議所会員、商工会役員、商品取引所会員・役員、生命保険募集人、損害保険代理店、旅行業者、警備員、警備業者、不動産鑑定業者、一般・特定建設業、建築士事務所開設者、建築設備資格者、宅地建物取引業者漁船保険組合員、漁船信用基金協会会員、日本銀行役員、政策委員会審議委員、土地主要委員、都道府県公害審査会委員、預金保険機構運営委員会委員、補償コンサルタントなど

とはいえ、自己破産の手続きがすべて終了すれば、こうした制限はすべて解除されますので問題ありません。
制限されている職業にどうしても就きたいという方は、自己破産の手続きがすべて終了するまで待ち、それから就職活動に臨めばなんの問題もありません。

どのタイミングで解除されるのか?

では、職業制限はどのタイミングで解除されることになるのでしょうか?
上記では自己破産の手続きがすべて終了するまでと表記しましたが、これはいつなのでしょう?

自己破産の手続きがすべて終了したと言えるのは、免責決定が確定したときです。
免責決定とは、裁判所が借金の支払い義務を法的に免除すると認める決定のことを指しています。
しかし、この免責決定が出ただけでは厳密に法的な効力はまだ及んでいません。というのも、この免責決定に対して、債権者側は異議を申し立てることが認められているのです。
そしてこの期間は免責決定から2週間と定められていますので、この期間が経過して初めて免責の効力が確定したと言えるでしょう。
つまり、裁判所から免責決定を得て、2週間が経過すれば免責は確定し、職業制限は解除されて自身の好きな仕事に就くことができるということです。

いつから制限されるのか?

では、逆に制限自体はいつからされることになるのでしょう?
こちらは自己破産申立後にある、「破産手続開始決定」がタイミングとなっています。これを言い換えれば、自己破産の申立を裁判所にして、実際に破産手続きが開始される前までであれば職業制限を受けることはないということ。
よって、専門家と申立のタイミングを調整することによって、ある程度は制限される期間を具体的にすることが可能になります。

職業制限の対象になる職業についている方は、専門家と相談しながら手続きを進めていくことにより、好きなタイミングでの退職も可能なので、強制的に仕事を辞めさせられてしまう心配は一切ありません。
なお、退職中は失業手当てを受けるなどして、制限されている期間の生活費を補うという方法もあります。

自己破産と聞くとどうしても不安は様々ありますが、その多くは適正な対処を取ることでいくらでも賄えるため、安心して自己破産へと臨んでいただければ幸いです。

 

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