自己破産前に給料が差し押さえられると

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専門家に自己破産を依頼し、後は手続きを行うだけとなっていても、貸金業者によっては債務名義を取得するために裁判などを起こしてくることがあります。
債務名義とは、裁判判決などのことを言い、これを取得されると強制執行手続きにより、債務者の財産を差押えることができます。
強制執行手続きとは、債務者の預金残高や給与などを強制的に差し押さえてしまうことをいいます。

では、もし自己破産前に給料が差し押さえられてしまった場合は、どうなってしまうのでしょうか?
今回は自己破産と給料の差押えについて詳しくご説明していきます。

給与が差し押さえられると切迫した状況に

自己破産を予定しているとはいえ、まだ裁判所への申立をしていない段階で差押えをされた場合、生活は切迫した状況にならざるを得ません。
貸金債権の差押えの場合、最大で手取り給与の4分の1まで差押えが可能となっています。
せっかく専門家に自己破産の依頼をし、すべての返済がストップしていたというのに、これだけの給与を差し押さえられてしまえば、返済に悩まされていた頃に逆戻りしてしまうといっても過言ではありません。

さらに、差押えられた給与というのは、自ら債権者に対して振込をするのではなく、自身の勤務先が第三債務者として支払い義務を負うことになっています。つまり、自身の勤務先に裁判所からの通知がいってしまうということ。
となれば、後ろめたい思いを強いられることにもなりかねません。
よって、いくら滞納があったとしても、可能な限り、差押え前に対応したいところです。

差押えされるまでの流れについて

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では、給与の差押えはどういった流れで進められていくのでしょうか?
これを知っているといないとでは、自身がどれだけ追い詰められているかがわからないため必ず頭に入れておきましょう。

まず、冒頭でも触れていたように、給与の差押えをするためには裁判所が強制執行を認めた書面である債務名義を取得しなければなりません。債務名義を取得するためには、裁判所経由で債務者に対して裁判手続きを起こし、請求が正当であることを裁判所に認めてもらう必要があります。

多くは、支払い督促や民事訴訟といった手続きにて、債務名義を取得することになっています。

つまり、ただ単に貸金業者から請求が来ているだけでは、即座に差押えがされる心配はまったく皆無ということ。
必ず裁判所を通した請求を行い、それを裁判所が認めた債務名義を取得し、強制執行手続きへと段階を踏んでいかなければ差押えをされる心配はありません。
まとめると、裁判所からの通知が来ていなければ青信号、裁判所からの通知が届いていれば黄色信号、債務名義を取得されてしまうと赤信号、というわけです。

差押えに対抗するには申立を

では、貸金業者に給与を差押えされないためにはどうすれば良いのでしょうか?
こちらの答えは、自己破産の申立を急ぐことです。
自己破産が裁判所に申し立てられ、破産手続きの開始決定が出されると、債務者に対する財産の差押えが禁止されます。
さらに、開始決定前にすでにされていた差押えも禁止され、債務者の財産はすべて破産手続きに委ねられます。

給料の差押えがされるためには、何度も触れたようにまずは債務名義を取得しなければなりません。
よって、債務名義を取得されでもしたら、申立を急ぐよう専門家に伝えるようにしましょう。

また、専門家であれば、間もなく自己破産の申立をするので、給与の差押えは待ってほしいといった交渉を行うこともできます。
相手にが中小の貸金業者では債務名義を取得した以上、差押えは必ず試みる運用をしているところもあるかもしれませんが、大手の貸金業者であれば、ほとんどの場合で待ってもらえます。
専門家が行う交渉には、それほどの効力があるのです。

自己破産はどの債権者に対しても平等な手続き

では、なぜ破産手続きの開始決定が出されると財産の差押えが禁止されるのでしょう?
こちらの答えは、自己破産には、「債権者平等の原則」があるためです。

ある債権者が差押えによって財産を回収しているというのに、他の債権者がしていないとなれば平等とは言えません。
すべての債権者を平等に取り扱うのが自己破産手続きなので、これを回避するために、破産手続きの開始を契機にすべての差押えが禁止されているのです。

この債権者平等の原則は、偏頗弁済と同様の考え方となっています。
破産者が一部の債権者にのみ返済することを偏頗弁済というのですが、破産手続きではこれを禁止しています。

たとえば、債権者の中に家族や知人がいたからといって、そこだけ優先して返済するといったことを裁判所は認めていません。たとえ家族や知人であっても債権者の1人であることに代わりはないため、優先的に支払う権利(別除権といいます)がない限り、返済は認められないのが原則です。
つまり、破産手続きがはじまれば、すべての債権者は平等に扱われなくてはならないということ。
これは結果として破産者を守ることにもなりますし、債権者が対等にあるためにも必要です。

給与の差押えは簡単にはされない

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上記のことから、貸金業者に債務名義を取得されたとなれば、申立を急ぐのがもっとも賢明な選択肢と言えます。
しかし、現実に給与の差押えというのは簡単にできることではありません。
というのも、貸金業者側が事前に債務者の勤務先を知っていれば容易に差押えられると言えますが、勤務先というのはいくらでも後から変えることができます。

通常、貸金業者と契約を結ぶ際、必ず勤務先を記入する欄がありますが、これはいざというときに差押えをするという意味合いも含まれています。しかし、契約時に所属していた勤務先で、現在は働いていないとなれば、貸金業者側は勤務先を知る術など持ち合わせていません。

稀に、本当に執着してくる貸金業者の場合、探偵などを利用して調査を行ってくるケースもあるようですが、費用対効果を考えれば、ここまでしてくる貸金業者はまずいません。
ただし、債務名義を取得された以上、絶対に給与の差押えがされないという補償はないため注意するに越したことはありません。
専門家に相談し、裁判所への申立を迅速に行うことを心がけましょう。

銀行残高の差押えへの対抗策

給与の差押えが容易にされないことがわかれば、次に心配になるのは銀行残高の差押えです。
しかし、こちらは簡単に差押え対策をすることが可能となっています。
銀行残高というのは、自身の自由に取り扱えるため、常に0円をキープしておけば差押えされる心配はありません。

仮に差押えがされたとしても残高が0円であれば、貸金業者側は1円も回収ができないということ。
俗にこれを空振りと言います。
よって、貸金業者に債務名義を取得されてしまっても、給与の差押えは勤務先の変更で対策できますし、銀行残高の差押えも常に0円にしておくことによって対策可能です。
しかし、上記でも触れたように給与の差押えがされないというのは絶対ではありませんし、銀行残高も給与を銀行振り込みにしているとなれば、常に0円にしておくことはできません。
よくある給料日(25日など)を狙い定めて差押えをしてくる貸金業者も中にはいるため、債務名義を取得されたままいつまでも放っておくというのは、あまり賢明とは言えません。
やはり専門家に依頼をし、自己破産をはじめとする債務整理手続きに着手してもらい、借金問題を根本から解決してもらうことをおすすめいたします。

 

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