手続き時に失念していた借金があったら?

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自己破産の申立をする際、必ず裁判所には債権者をまとめた書面を提出しなければなりません。
これを「債権者一覧表」というのですが、もし、この債権者一覧表に記載漏れがあった場合、その借金はどうなってしまうのでしょうか?
免責決定の効果が及ばなくなってしまうのでしょうか?

もちろん手続き時に失念しないに越したことはありませんが、後から貸金業者から請求が来て失念していたと気付く方も実務上でも多く見受けられます。
となれば、自身の失念が原因であるため、申立てに立ち会った専門家を責めることもできません。自身に原因があるということは、請求された分は、当然のように支払いしなければならないのでしょうか?
今回は、手続き時に失念していた借金があったらどうすべきかをご説明します。

手続き中であれば問題なし

自己破産の手続き中に失念していた貸金業者をなんとか思い出すことが出来た方は、すぐに債権者一覧表の補正を願い出ましょう。
手続きが終了する前(具体的には免責決定が出される前)であれば、債権者の追加は認められるのが通常の取り扱いとなっています。

弁護士に手続きを依頼していたのであれば、即座にこの事実を伝え、債権者一覧表の補正をしてもらいましょう。また、自身で申立てをしていたのであれば、必ず担当の書記官に事前に伝え、こちらも同様に債権者一覧表の補正をしてください。
これをしないでいると、借金があるのを知りながら債権者一覧表に加えなかったものとして、免責不許可事由に該当する悪質な行為となります。
自己破産の手続きは、すべての債権者に平等でなければならないという原則があるため、借金を知りながら隠匿したとなれば、自己破産手続きに反する悪質な行為とみなされ、免責不許可になってしまう危険もあるため注意しましょう。

免責決定後に気付いた場合

では、免責決定後に気付いた場合はどうすれば良いのでしょうか?
この場合は、なぜ失念してしまったのか?が問われる場合があります。

自己破産の免責決定というのは原則として、申立前にあったすべての債務に効力が及ぶと考えられていますが、上記で触れていたような、意図して債権者一覧表に記載しなかった債務に関しては、免責の効果がおよぶことはありません。
自身の借金を意図して隠す方はほとんどいないはずですが、もし、意図して債権者一覧表に記載しなかったのであれば、その債務に関しては支払い義務が残ってしまうのです。

今回の議題とは少し離れていますが、友人・知人からの借金のみどうしても返済したいとの理由で意図して隠していたのだが、やはり支払いが困難になったため、やっぱり免責の効力を有効にしてほしい、といったような身勝手な主張は通らない危険があるため注意が必要です。
自己破産は多重債務者を救済するためにある制度ではありますが、自分の都合で借金を隠匿したり、免責の効力を拡大したりといったことはできなくなっています。

債権者からの請求への対応

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上記のことから、意図して隠していなかったのであれば、免責の効果は及ぶのでご安心ください。
よって、免責決定後に債権者から請求がきた場合は、その債権者にすでに免責決定を得ている事実を告げることがなによりも大切です。
免責決定とは、自己破産手続きの中で最終的に得る裁判所からの決定で、この免責決定が確定した瞬間、自己破産手続きがすべて終了したことになります。よって、この免責決定が確定していることを告げれば、多くの債権者はこれ以上の請求は無意味だと感じ、引き下がることがほとんどとなっています。
自己破産の申立日やすでに免責決定が出ていることを伝えれば、債権者は官報を通じてその事実を知ることができます(官報には自己破産の免責決定が記載されるため)。
免責決定の日付を聞かれたり、免責決定書の写しを求められたりもしますので、そういった場合は素直に応じるのが良いでしょう。
もし、手元にそういった書類がなければ、もともと依頼していた専門家に相談し、取得してもらうのが良いでしょう。もちろん、裁判所へ自ら出向いて再度取得することも可能となっているため、免責決定書がなかったからといって、それほど心配する必要はありません

免責許可決定確定証明を求められる場合も

なお、通常であれば免責決定日や免責決定書の写しを請求してきた貸金業者側に提示することにより、それ以上の請求を受けることはなくなるのですが、中には「免責許可決定確定証明書」の提出を求められる場合もあります。
免責許可決定確定証明書とは、言葉のとおり、免責許可の決定が確定したことを証明する書類となっています。こちらは自己破産の申立をした裁判所にて取得することが可能で、手数料として150円の収入印紙が必要になります。

この書面は、上記で触れていた免責決定書(正式には免責許可決定正本)よりも、証明力が強い書面となっています。
というのも、免責決定が出た段階では、まだ法的には免責の効力が確定していません。この決定から2週間の経過によってはじめて確定に代わるため、免責決定書だけでは本当の意味で自己破産の手続きが終了しているのかどうかを確認することができないのです。
しかし、免責決定から2週間が経過し、免責許可決定確定証明書の交付を受ければ、免責の効力が確たるものだと貸金業者に示すことができるのです。

それでも請求してくる貸金業者への対応

上記のことから、免責決定書の提示、それでも納得しない貸金業者に対しては、免責許可決定確定証明書の提示にて請求から逃れることが可能となっていることがわかりました。
しかし、中にはそれでも請求を諦めない貸金業者も存在します。
その多くが、大手の貸金業者ではなく中小の貸金業者だったり、個人からの借入だったり、悪質な業者(ヤミ金業者など)だったりです。
こういった貸金業者に対しては、書面の提示だけでは効果が薄いため、専門家に相談してしまうのが最も賢明です。無理に自身で対応していると、さらに悪質な取り立て行為へと発展する危険がありますし、一回でも返済してしまえば、後から取り戻すのは困難となります。

たとえ自己破産して返済義務がなくなったとしても、任意で支払いする分には構わないとされていますので、返済した分は任意による返済であるとして、貸金業者側に返還義務は発生しないというのが通常の取り扱いです。よって、いくらしつこく請求されたとしても支払い義務はないとしっかり主張し、1円たりとも支払うことがないように気を付けてください。

専門家に相談するのが最善策

そして、あまりにもしつこい貸金業者に対しては専門家に相談し、場合によっては警察に介入してもらったほうが良い場合もあります。それほど悪質な取り立て行為がエスカレートしてくると、自身の生活に悪影響を及ぼしかねないのです。たとえば、職場にまで電話をしてきたり、自宅にまで押しかけたり、本来はまったく関係のない家族に請求がいったりと、何も良いことはありません。

よって、あまりエスカレートされる前段階から専門家に相談するのが最善策です。
専門家が介入すれば、貸金業者も無理な請求はしてこなくなります。
また、実際にここまでしてくる貸金業者は本当に稀なので、そこまで心配する必要はありません。たとえ自己破産の手続き時に失念していた借金があったとしても、免責の効力は及ぶ取り扱いとなっているのでご安心ください。

 

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