自己破産にある復権とはどういった手続きを言うのでしょう?

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質問:私自身が自己破産をするわけではないのですが、知人が自己破産を検討しているとのことなので、現在、自己破産についていろいろ調べているところです。
しかし、自己破産には言葉だけでは想像がつかない専門用語が多いため、理解をするのに大変困っています。
そこで、今回は「復権」という手続きについて教えていただきたいのですが、復権とはどういった手続きを言うのでしょう?
何かの権利が回復するということなのでしょうか?教えてください。

回答:おっしゃるとおり、自己破産における復権とは、破産者の状態から回復すること、つまり、自己破産をすることによって失った権利や資格を取り戻すことを言います。
自己破産の手続きが開始されると、申立人は法律上の「破産者」として取り扱われることになり、さまざまな制限を強いられることになっているのです。
この状態を解除することを復権と言います。
では、破産者でいるとどういった制限を受けることになるのか、以下にて詳しくみていきましょう。

自己破産の手続き中に受ける制限

自己破産の申し立てをすると、申立人は一定期間自由に引っ越しができなくなり、また、遠隔地・長期間の旅行といったものが制限されることになっています。お盆やお正月などで実家に帰省したいといった理由がある場合は、いちいち裁判所から許可をもらわなければならないのです。

とはいえ、この状態は破産手続きの開始決定を受けることによって解除されることになっています。
しかし、開始決定を受けただけでは、職業と資格の制限以下にて詳しくご説明します)は解除されず、復権を受けなければその仕事に就くことができません。

復権となる条件について

復権を受けるためには下記の条件を満たす必要があります。

  1. 同時廃止の破産手続きが確定する
  2. 免責許可決定が確定する
  3. 再生計画の認可決定が確定する
  4. 詐欺破産罪の有罪判決を受けることなく10年が経過する

それぞれ復権となる条件の詳しい中身についても見ていきましょう。

1.同時廃止の破産手続きが確定する

1の同時廃止とは、破産者にほとんど財産がない場合に処理される破産手続きの1つです。

自己破産では、他に少額管財と管財事件の2つがあります。
少額管財や管財事件として処理された場合は、破産手続きを処理するために「破産管財人」が選任されることになります。この場合、同時廃止(破産手続き開始と同時に終了するためこのように呼ばれています)と違って破産手続きを行わなければならないため、この段階で復権になることはありません。つまり、同時廃止事件として処理されたほうが、制限される期間も短いのです。

2.免責許可決定が確定する

2の免責許可決定とは、言葉のとおり自己破産の最終目標と言える決定です。
免責許可決定によって債務(借金のこと)は免除される、復権により制限も解除されるというわけです。同時廃止であっても、管財事件であっても、最後には免責許可が出て事件は終了となるため、手続きがすべて終了すれば晴れて復権になるというわけです。

なお、決定と確定は一般的には同じような意味で使われていますが、法律上は、決定の後、即時抗告(決定に不満がある場合に出すもの)の期間が定められており、その期間内に即時抗告がなかった場合に、はじめて確定とされます。
つまり、もう決定が覆らない状態が確定というわけです。

3.再生計画の認可決定が確定する

ここまでは自己破産手続きの中の出来事と言えますが、次からは少し異なります。
もし、破産手続きが免責不許可となってしまった場合、破産者のままとなってしまいます。

そこで、免責不許可事由のない個人再生手続きを利用し、再生計画が認可されたら、復権させても良いだろうというのが3です。
免責不許可になると、破産者のままという点に注意が必要です。

個人再生とは、債務整理手続きの中の1つで、自己破産とはまったく別の手続きになるため、再度の申し立てが必要になります。
もちろん自己破産と同様の準備期間が必要になるケースがほとんどなので、しばらくは破産者になってしまうことから、この場合は注意が必要です。

4.詐欺破産罪の有罪判決を受けることなく10年が経過する

そして4の詐欺破産罪というのは、債権者を害する目的で、財産の隠匿といった行為があった場合などに問われる刑事罰の一種を言います。

詐欺破産罪を問われることになると、最低10年は破産者として過ごさなければならないのです。
よほどのことがない限り詐欺破産罪に問われることはありませんが、自己破産は個人の財産を清算する手続きです。意図的に財産を隠してやり過ごそうとする行為は、非常に危険と言わざるを得ません。
その中でも詐欺破産罪は最悪のケースと言えますが、裁判官に疑われるような行為は可能な限り避けましょう。

自己破産によって制限される資格・職業

では最後に、自己破産によって制限される資格・職業についても見ていきましょう。
以下に該当する方は、一時的に転職が必要になったり、休業が必要になったりするケースもあるため、自己破産申し立て前に都合をつけておくなどの対策が必要になるので注意です。

・制限される資格・職業

弁護士、司法書士、行政書士、弁理士、通関士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、中小企業診断士、公証人、人事官、証券外務員、商品投資販売業、商品投資顧問業、証券金融会社役員、信託会社、著作権等管理事業者役員、地方公営企業等金融機関役員、信用金庫会員・役員、日本銀行役員、建築設備資格者、測量業者、土地鑑定委員、地質調査業者、下水道処理施設維持管理業者、風俗営業者、損害保険代理店、旅行業者、警備員、警備業者、貸金業、質屋、割賦購入あっせん業者役員、生命保険募集人、不動産鑑定業者、一般・特定建設業、建築士事務所開設者、特別管理産業廃棄物処理業者、通関業者、鉄道事業者、卸売業者、国際観光レストラン、宅地建物取引業者宅地建物取引主任者、など

そこまで心配する必要はありません

上記のように、制限や詐欺など、見るだけで仰々しい言葉が並んでいますが、実際にはそこまで心配することはありません。そもそも自己破産という手続きは、多重債務者救済のためにできた制度なので、自己破産後の生活にまで悪影響を与える心配はほとんどありません。
自己破産では、借金の支払い義務が免除されるという大きいメリットを得るため、どうしてもデメリットばかりが不安視されてしまいますが、実際には普通に生活されている方がほとんどです。

数年間は新たな借り入れができないため、生活面に多少の不便はあるかもしれませんが、自己破産手続きによって制限されていた、引っ越しや遠距離への旅行、資格や職業などがいつまでも制限されるわけではありません。
復権によって、ほとんどは正常になるのでご安心ください。

円滑な自己破産のためには弁護士に依頼

なお、破産者でいる期間を短くしたい(早く自己破産手続きを終えたい)場合は弁護士に依頼をするのが賢明です。

弁護士であれば、知識も豊富で手続きにも慣れていますので、無駄に時間がかかる心配がありません。
なにより、裁判所とのやり取りを任せられるのが非常に大きなメリットです。

一方、司法書士に依頼すると、自身が裁判所とのやり取りをしなければならないため、どうしても時間がかかってしまうのです。自己破産の制限に関わってくる方は弁護士に依頼をしましょう。

 

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