自己破産前に親が亡くなり遺産相続が発生したのですが・・・

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質問:現在、自己破産を弁護士さんに依頼しているところです。
まだ必要書類の準備中で裁判所への申し立てはしていないのですが、このまま自己破産をしていいものか悩んでいます。というのも、先日、親が亡くなってしまったことから遺産相続が発生したのです。
預金だけでなく不動産もいくつかあります。
このまま黙っていれば、私の借金は自己破産でなくなりますか?それとも弁護士さんには正直に話した方が良いのでしょうか?私はどうすれば良いのでしょう・・・。

回答:親御さんがお亡くなりになられてしまったのですね。心よりお悔やみ申し上げます。
さて、今回の場合、このまま黙って自己破産をしてしまうと財産の隠匿行為に該当するため、弁護士には必ず正直に話すようにしてください。
なお、遺産相続のタイミングとしては良いとは言えませんが悪いわけではありません。
というのも、遺産をすべて自身の自由に使うことはできないかもしれませんが、今からであれば自己破産を回避できる可能性が残されているのです。
自己破産さえ回避できれば、遺産の多くを手元に置いておくことができるかもしれません。
せっかくご両親が残してくれた財産なので、以下を読んでどの手続きが合っているか考えてみましょう。

自己破産は財産の清算手続きである

そもそも自己破産というのは自身の持つ財産を清算し、清算しきれない借金の支払いを免除してもらう手続きです。もちろん清算する財産がないのであれば、そのまま支払い免除となりますが、今回のように遺産相続によって自身の持つ財産が増えてしまえば、その分だけ借金の清算に充てなければならないのが自己破産の原則となっています。

つまり、遺産相続した財産は、自己破産の手続きの中で債権者への返済に充てられてしまうということ。
さらに、破産管財人が選任されることになり、手続きは長引くばかりか、遺産も破産管財人に受け渡さなければなりません。自らの手元に残すことができなくなってしまうのです。

破産手続きのために破産管財人が選任

また、自己破産では、申立人が時価で20万円以上の財産を保有している場合、「破産手続き」を行い、その中で財産を現金に換価し、債権者に対して均等に分配しなければなりません。
この破産手続きは裁判所が直接行うのではなく、裁判所から選任された「破産管財人」が行うことになっていて、その選任に最低でも20万円の費用がかかってしまうのです。
さらに、自己破産申し立て前の遺産相続の場合、自らの借金を免除してもらうために、遺産を手放すことになり、なにも良いことがありません。
ここで考え得る対策としては、自己破産の申立をせずに(すでにしている場合は取り下げて)、自己破産以外での解決を考えるのが得策です。
相続した遺産をうまく使えば、以下で説明するような、任意整理や個人再生による解決が可能になる可能性は十分にあります。

遺産相続のタイミングで取り扱いが異なる

では、今回のように自己破産の申立前ではなく、すでに自己破産の手続きが終わっていた場合はどうでしょうか?
この場合、相続した遺産はすべて自由に使うことができました。

自己破産によってすでに借金の返済義務はなくなっているので、そこに想定していなかった遺産相続があったというだけです。今から返済しろなどと言われる心配は一切ありません。
不謹慎ではありますが、もっとも良い遺産相続のタイミングが自己破産後というわけです。

すでに触れたように、自己破産の申し立て後から開始決定が出る前に遺産相続があった場合、すべての財産が清算の対象となってしまうため、タイミングとしては最悪だったと言えます。
しかし、今回は自己破産申立前の遺産相続だったため、相続した遺産をうまく利用し、自己破産以外による解決(任意整理や個人再生など)の可能性が芽吹きました。

自己破産を回避できれば手元に残すことも可

また、ある程度であれば遺産を手元に置いておくことも可能と言えるでしょう。

数ある債務整理手続きの中で、自らの財産が強制的に処分されてしまうのは自己破産のみです。
任意整理であれば一括返済にして、遅延損害金や将来利息(今取られている手数料)の負担が減ることになりますし、あえて分割返済にして遺産を多く手元に残すのも手です。
個人再生であれば、法律で決められた金額(借金総額の約5分の1程度 ただし、保有財産が大きい場合は、金額が増えることも)を、3年間で返済していく手続きです。
継続した収入が利用条件の1つにありますが、すべての財産を手元に残せることからも、財産がある方にとっては非常に向いている手続きです。

借金問題解決の選択肢は1つではない

借金問題を解決する方法は自己破産だけではありません。

現在、自身が保有している財産や収入、そして新たに加わった遺産相続による財産を踏まえ、どの債務整理手続きが適正化を判断することで、借金解決への選択肢は広がっていくのです。
せっかく相続した財産を自己破産によって失ってしまう必要は決してないので、どの手続きが今の自身にとって適正か見極めてから、進めていくようにしてください。

ただし、この見極めは一般の方にそれぞれ価値観がある以上とても難しく、専門家の判断が必要になってしまいます。さらに専門家に対しては、本当の情報を伝えないことには正しい判断をしてもらうことができません。以下で説明するように、財産隠匿をしてしまえば、どの手続きが適正かアドバイスできないのです。

依頼を検討する場合は、絶対に虚偽の情報を伝えないようにしましょう。

最悪の場合、財産の隠匿行為とされる

なお、遺産を隠したまま、自己破産もしてしまおうと思い、弁護士や裁判所に黙って申し立てをした場合、嘘が公になる可能性は非常に高いです。弁護士に知られたくらいであれば、まだ自身に危害が及ぶことはありませんが(その弁護士との信頼関係は傷つくものの、弁護士はたくさんいますので大丈夫です)、裁判所に知られた場合、免責不許可とされる危険性もあります。

財産の隠匿行為は、免責不許可事由といって、免責を許可するに値しない事情の1つに数えられています。
多くの場合で、免責不許可事由があっても、裁判官の判断による「裁量免責」によって免責決定自体は出されることが多いのですが、手元に残しておこうと思った遺産は、回収されて債権者への配当に充てられることになります。

当然、手続きには破産管財人が選任され、上記で触れたように手続きが長引く上に、破産管財人の費用として余計に最低でも20万円(遺産が多ければもっとかかることも)かかってしまうことから、良い選択肢とは言えないでしょう。

弁護士に正直に話せば最善策がわかる

今回の質問者様の場合、すでに自己破産を依頼しているとのことで、遺産相続があった事実を弁護士に話すことによって、現状取り得る最善策を提案してくれるはずです。
弁護士は、依頼者にとってベストな選択肢を提案してくれます。たとえ、途中で手続きの方針変更があったとしても、それを嫌がる弁護士はいないので、どうかご安心ください。

このまま弁護士に黙っていたとしても、自己破産に必要な書類を集めている中で少しでもおかしな点があれば、遺産相続があった事実はすぐに明らかになってしまいます。
また、うまく弁護士に隠し通せたとしても、裁判所に見つかってしまえば、上記のような最悪のタイミングと同じ処理をされてしまう危険もあるため、隠し通そうなどとは考えないようにしましょう。

 

ys

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