専門家に依頼すれば裁判所には行かなくてもすみますか?

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質問:借金の返済が数ヵ月も滞ってしまい、支払いを継続できないため自己破産を考えているところです。しかし、私はとても緊張しやすい性格なため、できれば裁判所には行きたくありません。
自己破産をすると裁判官との面接があると聞いたのですが、これをなんとか避ける方法はありませんか?
専門家に依頼すれば裁判所には行かなくてすんだりはしませんか?
緊張して余計なことをしゃべってしまいそうで、それを考えるだけで胃が痛くなります。

回答:確かに自己破産の手続きの中には裁判官との面接があります。
これを審尋(しんじん)と言います。
審尋については、原則、2回実施されることになっていますが、裁判所によっては自己破産の申立書に特に問題が見受けらない場合、書面審理といって申立書の提出のみで自己破産の手続きが進められることもあります。
ただし、しっかりとした申立書を提出するには専門家の力が必要になるため、専門家に依頼すれば裁判所へ行かなくてすむこともあると言えるでしょう。

申立後は2回の審尋に出向く可能性

自己破産の申し立てがされると、破産手続きの開始決定の前に1回(破産審尋)、免責決定の前に1回(免責審尋)、それぞれ審尋が開かれることになります。審尋という言葉だけを見ると仰々しい雰囲気が見て取れますが、実際には5~10分程度で終わってしまうことがほとんどです。

聞かれる内容も、自己破産の申し立て時に提出した「申立書」の中身や添付資料の中から、数点確認される程度で、回答に困るような意地悪な質問をしてくる裁判官もほとんどいません。
ただ、借金をした事情によっては稀に裁判官から説教のようなものを受けることもありますが、それでも大した内容のものではなく、誰でも問題なく手続きを終えられます。

裁判官が審尋で見ていること

では、大した内容でもないのになぜ、わざわざ裁判所にまで出向く審尋が必要なのでしょう?
この理由は、裁判官が本人を実際に確認してみたいという意味合いが強いです。そもそも法律上、審尋は義務付けられているわけではなく、裁判官の判断で行わなくも良いとされています。

しかし、書面上に問題がありそうな方をそのまま免責にしてしまうわけにもいかず、裁判官自身がどういった人なのか確認したいというのが大きなところです。
よって、申立書の内容についてはすでに書面で見ているので割とどうでもよく、それよりもどういった対応をするのかを裁判官は審尋で見ています。
ポイントとなるのは、悪い印象を与えないことで、スーツなどで足を運ぶ必要はないまでも、清潔感のある服装を心がけ、裁判官からの質問に対しては誠実に対応すれば問題ありません。とにかく落ち着いて臨むのが重要です。

また、裁判官も忙しい身なので、よほどおかしなことでもしない限り、審尋は淡々と進められていくため、あっという間に感じる方もたくさんいらっしゃいます。

弁護士であれば審尋への同席も可

また、専門家の中でも弁護士に依頼をしていれば、審尋に同席してもらうことも可能となっています。隣でしっかりサポートしてくれますので、回答に困って黙ってしまっても、横から弁護士が代わりに発言をしてくれるので安心して審尋に臨めるはずです。

そもそも、審尋というのはそこまで身構える必要はありません。
ここでの対応1つで免責決定が出なくなるわけではありません。あくまで判断要素の1つでしかないため、心配しなくても大丈夫です。
弁護士が同席している以上、悪い印象を与えることはまずないのでご安心ください。

ただし、司法書士に依頼した場合、同席が認められないこともあるため、1人では不安と言う方は弁護士に依頼することをおすすめします。
司法書士というのは、自己破産手続きの代理ではなく、書面作成といった補助が業務範囲になるため、裁判所とのやり取りを任せることができません。
当然、裁判官とのやり取りになる審尋にも同席はできず、発言も認められていません。
稀に、本人を落ち着かせるために同席を認める裁判官もいるようですが、どの裁判官も同席を認めてくれるわけではないので、あまり期待すべきではありません。

特に問題がなければ書面審理に

なお、自己破産の申立書に特に問題が見られないようであれば、審尋が省略されることもあります。
裁判所も多くの破産手続きを処理しているため、問題がない場合の迅速な解決のため書面だけで審理がされることもあるのです。
ただし、少しでも問題が見受けられれば書面審理に付されることはまずありません。

たとえば、ギャンブルといった免責不許可事由に該当していたり、申立書に不明瞭な点が多かったりといった場合は、ほぼ間違いなく審尋が開かれることになるでしょう。
また、地域によっては審尋を必ず行う運用をしている裁判所もありますので、いくら問題のない申立書を作成したからといって、必ず審尋が省略されるわけではないことを覚えておきましょう。

どうしても裁判所にいきたくない場合

上記のように、審尋といってもそれほど大変な手続きではありません。
しかし、それでもどうしても裁判所にいきたくないという方は、弁護士に協力してもらい、足を運ばなくても済むように調整してもらいましょう。
こちらも必ず認められるわけではありませんが、事情次第で認められるケースもあります。

たとえば、精神的な病気などが原因で裁判所に足を運ぶのに苦痛を伴うといった場合、それを裏付ける診断書などがあれば、審尋が開かれない対応がされることもあります。実際に病院にかかっている方は、診断書をうまく利用しましょう。

ただし、これが認められるか否かは申立書の出来次第と言っても過言ではないため、弁護士がついていたとしても申立書の作成は綿密に行い、協力を惜しまないことが大切です。

申立書は弁護士だけで作成できるわけではない

自己破産の申立書というのは、弁護士に依頼すればすべて勝手に行ってくれるわけではありません。
なぜ自己破産の申し立てが必要になったのか?現在の収支状況や家族構成、それを確認するための給与明細書や住民票など、弁護士に依頼をしていても自身が用意しなければならない書面はたくさんあるのです。

また、申立書には「陳述書」という形式で、申立人が初めて借金をしてから、現在に至るまでの経緯を書面にしてまとめることになっています。

こうした書面は原則、弁護士が作成してくれますが、そのための聴取をしないことには作成もできません。弁護士も立場上、虚偽の事実を記載するわけにはいかないため、申立人から詳しい事情を聴かないことには、申立書の作成をすることはできないのです。

自己破産は依頼しただけで終わりません

弁護士に自己破産を依頼すると、貸金業者からの請求や返済がストップするため、それだけで手続きを終えた気になってしまう方もいらっしゃいます。
しかし、自己破産というのは裁判所に申し立てをして初めてスタートしたと言え、そのための準備が非常に重要な手続きです。

この準備段階で、いかにしっかりとした申立書とその内容を裏付ける資料が用意できるかが、その後の手続きにかかっています。
どうしても審尋に行きたくないのであれば、なによりも申し立てまでの準備を怠ってはなりません。

自己破産は専門家に依頼しただけで終わる手続きではないため、勘違いのないよう手続きへと臨んでください。
これが裁判所に足を運ばずに済むコツと言えます。

 

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