自己破産手続き時に記載し忘れた債権者はどうなりますか?

質問:私は、以前、貸金業者の請求から逃げ続けていたのですが、裁判所から訴状が届いたことに怖くなり、現在は弁護士さんにお願いし、自己破産の申し立てが済んだところです。
手続きとしては順調なのですが、1点不安なことがあります。

というのも、数年間も請求から逃げ続けていたため、そもそもの借り入れ先がどこだったのかはっきりと覚えていないのです。
記憶にあった貸金業者だけは弁護士さんに伝えたのですが、記載漏れがないかどうか不安です。
もし、記載し忘れた債権者がいた場合、どうなってしまうのでしょう?
支払い義務はなくなりませんか?

回答:現在、自己破産の申立が済んだ段階ということは、まだ債権者一覧表の補正は間に合うと言えるでしょう。
今からでも思い出した債権者がいれば、必ず裁判所に届け出るようにしてください。
遅くとも免責決定が出るまでに思い出すことができれば、補正が認められる可能性は十分にあるため、いま一度、過去の記憶や書類を整理してみてください。
なお、今回のように単に債権者を失念していた場合であれば、債権者一覧表への記載がなかったとしても、免責の効果は及ぶものと考えられていますので、いずれにしても、支払い義務について心配することはありません。

免責決定の効果が及ばない場合

免責決定前に債権者を届け出ることができれば、免責の効果までを心配することもありませんが、それまでに思い出すことができないとなれば、心配になるのも当然です。
免責決定後の場合は、なぜ債権者を届け出なかった理由が問われることになります。

もし、意図的に債権者一覧表に記載していなかった債権者がいたとなれば、その債務に関しては免責の効果が及ぶことはありません。
とはいえ、わざと債権者を隠すケースはかなり稀であるため、原則、免責の効果は及んでいると考えて問題ないでしょう。

自己破産前にあった借金は、今回の自己破産によってすべて法的な支払い義務がなくなっていると考えていて大丈夫です。
後から出てきた債権者に対してだけ、もう一度自己破産が必要になるような心配もないのでご安心ください。
ただし、自己破産後に新たに借り入れがあった場合、最初の免責決定から7年間は再度の自己破産はできないので注意しましょう。

債権者からの請求で失念に気付いた・・・

なお、免責決定後、自身が債権者を失念していたことに気付くケースとしては、債権者からの請求書が届いたといったきっかけが多いと言えます。
この場合、まずは請求してきた債権者に対して、すでに免責決定を得ていることを伝えましょう。

この際、自己破産の手続き終結時に裁判所から交付される「免責決定書」の写しを提示すれば、よほどマナーのない債権者でない限り、おとなしく引き下がることがほとんどです。

稀に「免責決定確定証明書」を出してほしいと言われることがありますが、これは裁判所にて簡単に取得できる書類なので、それほど苦労することもありません。ただし、取得には手数料として150円がかかってしまうのと、裁判所ごとに専用の請求用紙がある場合もあります。
自分には少し難しいと感じた場合は、専門家に取得をお願いするのも1つの方法です。

それでも請求がやまない場合は・・・?

通常、免責決定書や免責決定確定証明書を提示すれば、多くの貸金業者は引き下がります。
しかし、それでもしつこく請求してくる債権者に対しては、必ず専門家に相談しましょう。

あまりのしつこさに支払いを認めることがあってはなりません。
ここで支払いを認めてしまうと、債務承認といって支払いをみとめる意思表示をしたと解釈される恐れもあり、その後が不利になってしまうこともあるため、「まずは専門家に相談」、ということを忘れないようにしてください。

この際は、自己破産を担当してもらった専門家に相談するのが、事情も理解してもらえていることもあってスムーズに進むはずです。
ただし、専門家も記録の保管をいつまでもしているわけではないため、何年も経過している場合は、当時もらっていた免責決定書を持参すると良いでしょう。

過去に取引のあった貸金業者を知る方法

上記のように、たとえ過去に取引のあった貸金業者を失念していたとしても、自己破産後の対応次第で問題なくやり過ごすことができます。
ただ、可能であれば自己破産の申し立て段階で、すべての貸金業者に対して裁判所からの通知が届くに越したことはありません。

自己破産後には可能な限り、過去の借金問題は持ち込まないことが、新しい生活を送っていく上でも必要なことです。
そこで、過去に取引のあった貸金業者を知る方法として、個人信用情報の照会が有効です。

多少の手数料がかかってしまいますが、個人信用情報には過去の取引先や、現在の状況(滞納・完済など)が記載されているので、記憶に頼らずとも事実を引き出すことは可能です。といっても、個人信用情報機関はいくつかあるため、以下の点に注意して照会しましょう。

・株式会社シー・アイ・シー(CIC)
過去に信販会社と取引があったという方はこちらです。

・株式会社日本情報信用機構(JICC)
過去にクレジットカードや、サラ金関係の会社と取引があったという方はこちらです。

・全国銀行個人情報信用センター(KSC)
過去に銀行からの借り入れがあったという方はこちらです。

いずれも照会方法が若干異なりますが、必要がありそうな信用情報機関に対して照会してみると、過去の取引先が出てくる可能性が非常に高いです。
どうしても思い出せないのであれば、全社に対して照会してみる方法もありますが、手数料がかかることも忘れないようにしましょう。

意外に過払い金が見つかる可能性も

過去に取引のあった貸金業者について調べていると、すでに完済している貸金業者がいる場合もあります。
その場合、過払い金が発生している可能性があります。

過払い金というのは、過去と現在の上限利率の違いによって生じる、「払いすぎた利息」のことで、取引期間が長ければ長いほど発生する可能性が高くなり、もちろん相手の貸金業者に対して返還請求が可能です。
よく過払い金といった言葉を目にする方も、最近では増えたのではないでしょうか?
自己破産を検討している方であっても、過払い金が発生している可能性は十分にあるのです。
特に、返済に追われている方は、過去に完済している貸金業者のことなど気にならないため、過払い金が発生していること自体気づかないケースはいくらでもあります。

過払い金で自己破産が回避できる可能性

過去の取引先がどうしても思い出せない、信用情報機関への照会を試みた後、すでに完済している取引先が発覚、取引履歴を請求してみると多額の過払い金が発生していた・・・
このような事例は実務でも多く見受けられますし、過払い金がきっかけで自己破産を回避できた方もたくさんいらっしゃいます。

ただし、過払い金を請求する権利(不当利得請求権といいます)は、最後の取引から10年間の経過で時効になってしまいます。
時効というのは、簡単に言えば請求する権利が失われることです。つまり、いくら過払い金を請求する権利があっても、それを10年間放っておけば請求ができなくなってしまうということ。特に、思い出せないほど過去の取引であるという方は、この10年という時効にかかりかけている方も多くいらっしゃいます。
いくら専門家でも、10年経過した過払い金を取り戻すことはできないため注意が必要です。

 

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